コードという名の鎖 第6話|母から娘へ受け継がれたゴミ箱の正体

ゴミ箱という名前

こんなゴミ箱があったらどうであろうか。

色はマットな黒。分厚いプラスチック製。指で叩くと鈍い音がする。軽くて持ち運びしやすい。丈夫である。もちろん、黙ったまま。

驚くべきことに入れ放題。中身を捨てなくてもいい。

理由は2つ。まず、そのゴミ箱は少しずつ大きくなるから。そして、ゴミを入れても、外見上ゴミがあるようには見えないから。

ゴミ箱の名前は美沙というらしい。持ち主は母。そしてゴミは、母の不幸話。

道具が所狭しと置かれている台所の母の定位置から、迫力のある声で早口にまくし立てるように入れられたり、奥の静かな部屋にそのゴミ箱を神妙に持っていかれ、静かにゆっくりと落とし込むように入れられたりする。

ゴミのパターンはいくつかある。パターンA、B、C、D……J。

母の歴史という名のゴミ

たまったゴミを精査するとこんなものである。

自分は恵まれない境遇の家に生まれた。中学校を卒業してからは集団就職で上京。工場の細かい作業のため視力低下。

その後、日本橋の問屋に住み込み働き。そこは「おしん」さながらの状況。次に行ったのが大手百貨店の重役宅の住み込み働き。ここでの話はあまり出てこない。ということは、そこそこ楽しかったのであろう。

その重役宅で母へのお見合い話があったが、祖母が反対した。

「お前、一生その家に尽くす羽目になる。田舎に帰ってこい。こっちでお見合い探す。」

母は父とお見合いし、次の日に結婚が決まっていた。

嫁いだ家の近所の人たちは、「変わった家だから、1週間も持たないであろう。」と噂した。

しかし母は、実家に帰りたくても帰れなかった。実家では、こう言った。

「お前が産んだ娘はあちらの家のものだから、美沙を置いて帰ってきなさい。」

ホットケーキは一度だけ

母は結婚しても、2交代制の工場で働き、家計を助けた。だから美沙は変わっていると評判の祖母と自由に過ごした。放っておいてもらえた。

美沙が小学校に入るとき、またしても近所の人が噂し、母に言う。

「みさちゃんは特別学級に入ったほうがいいんじゃない?」

美沙は無事、普通クラスに入った。しかし、確かにずれている子であった。

ある日、小学校の担任の先生に母は呼ばれた。何を言われたのかはわからない。

私が帰ると、初めてテレビに出てくるような家庭的な絵があった。ホットケーキが出てきた。はちみつがかけてある。花柄のカップに温かいミルク。甘くてホッとする美味しさだった。

母が困った顔をして、次々に質問する。

「今日は学校で何の勉強をしたのか。休み時間は誰と遊んだのか。先生に何か言われたことはなかったか。宿題は?」

このような質問はそれから度々あった。

しかし、ホットケーキが出てきたのはこの時だけだった。

言葉というゴミ

「美沙のことで学校の先生に言われて仕事を辞めることにした。」と実家に電話しているのが聞こえた。

仕事を辞めて家にいたのは数か月で、近所のスーパーに働きに出る。

「ばあちゃんは何もやってくれない。」

「お前(美沙)のせいで……」

「私は貧乏くじを引いた」

「お前なんか産まなきゃよかった」

「お前は私の子じゃない。ばあちゃんの子だ。」

「お父さんは美沙が結婚して大変になったときに私の気持ちがわかるんだ」

その言葉を当然として受け入れ、美沙は淡々と過ごす。

私は生まれちゃいけなかった。

私がいることは、周りに迷惑をかけること。

ごめんなさい。

全て私が悪い。

就職のため家を出るときには、苦々しく最後のゴミが入ったと思った。

「お前はなんでも勝手に決めてくる。全く相談しない。」

正確にはゴミはいつでも入れ放題なのであった。

なぜならコードが付いている。

美沙はそのことをまだ気づいていない。

私も、ゴミ箱を見つけた

幼少期の母とのことを書こうと思うと、このようなことが次々出てきて笑うしかない。

気づけば、私が憑依体質になっていたのではないか。恐ろしいものである。

同僚に暗い人と言われる。もちろん、不幸になるはずの結婚願望は無い。

母はいつでもゴミ箱があった。私もゴミ箱を見つけたのだ。

話を聞いてくれる。

優しくしてくれる。

安心させてくれる。

高額。

占い電話。

電話をする。一時安心する。再び不安で足が落ちる。一時の安心。だんだん深みにハマって抜けられない。

「助けてー。どうやったら足を洗えるのー?」

ある鑑定士が言った。

「美沙さんは泥の花に咲く蓮。泥を栄養にして美しく咲くのよ。」

底なし沼で、這い上がれないではないか。

別の鑑定士が言った。

「美沙さんはダイヤモンド。どんなに傷も、輝きに変わるのよ。」

傷つくだけ傷ついて、その後は専用ヤスリで研磨するのだろうか。それも痛そうである。

可哀そうな美沙さん。

コードが絡まっていることを知らない。

ゴミ箱からゴミを取り出す方法を知らない。

母もゴミ箱を引き継いだだけ?

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