あなたが助けたいものを、光に変えなさい。|小野神社で起きたこと

合図
再び、小野神社へ。
なぜだろう。特に理由はない。ただ、足が向いた。
美沙はそのまま、鳥居をくぐろうとして——立ち止まった。
青空だった。静かだった。国旗がはためいていた。祝日かと思ったが、そうではなかった。
全部、普通だった。のどかな休日だった。
ただ一つを除いて。
鳥居の中央に、菊の紋様がある。
こんなに意識したことは、なかった。
右から左へ、ミラーリンクのように光っている。鏡のようにキラン、キランと反射している。まるで生きているみたいだった。
不遜だった?
皇室でなにかあった?いや、それだけではない。
長い歴史の呼びかけ。隠された何かが、前面に出てきている。
今、この時に——ようやく出てきた何か。
何だろう。
そういえば——イラク。
どこか遠い国にも、この紋様があると聞いたことがある。五千年前の話だったかもしれない。
これは、合図だ。
まず、神様に挨拶
拝殿に向かう途中、右手に何かがあるのがわかった。
気になった。でも、まず神様に挨拶が先だ。
美沙はそのまま拝殿へ向かった。
鈴を鳴らした。そっと手を合わせた。
お願い事はしない。いつもそうだった。
「天下春大神(あめのしたはるのおおかみ)様、瀬織津比咩大神(せおりつひめのおおかみ)様。この地にお招きいただきありがとうございます。私は幸せです。あなた様に愛されています。私もあなた様が大好きです。」
また涙が溢れてきた。ハートが熱くなっている。じんわりと、内側から広がるような温かさだった。
ハートの石
それから——右手へ向かった。
そこに、それはあった。
丸みを帯びた大きな石。しめ縄が巻かれている。紙垂が白く揺れている。
なんだろう。
近づいて——美沙は思わず立ち止まった。
石の表面に、ハートの形が浮かんでいる。
こんなにはっきりしたハートが、自然にできるものだろうか。まるで誰かが丁寧に彫ったみたいだ。可愛い。神社に、これ。
可愛すぎる。

巫女さんに聞きに行った。
「あの石は何ですか?」
「只今、神職がおりませんので……」
そうか。わからないまま。
でも美沙は石の周りをゆっくりと一周した。座る場所を探しながら。
拝殿が見える。石が見える。大きな木が、静かにそこにいる。
ここはいい。他の人が来ても邪魔にならない。ハートの石のエネルギーをそのまま受け取れる。木が、自分までも包んでいる気がした。
見当をつけた。一歩、また一歩と後ろに下がる。
ここだ。
足元に、何かがあった。木から落ちてきたものだろうか。名前はわからない。でも、冷たくなかった。
美沙はそのままそこに座り込んだ。ふわふわしていた。ここが、瞑想するのに一番ふさわしい場所に思えた。
アルノおじいちゃん
目を閉じる。
ふわふわした足元の感触。木の気配。ハートの石のエネルギーが、じんわりと伝わってくる。
意識が、どこか遠くへ引っ張られていく感じがした。
そのとき——顔が現れた。白いひげ。吸い込まれそうな目。口がにっこり笑顔になる。
あっ、アルノおじいちゃんだ。
口が動いているよ。でも声は聞こえない。
ハートで、じっと見た。
愛しているよ。
そう言っていた。確かに、そう言っていた。
胸の奥が、じんわりと熱くなった。あの頃と同じ温かさだった。
温かさの正体
どのくらいそこにいたのだろう。
ふと、気配がした。
「あちらにベンチがありますよ。」
声がした。顔を上げると、神職の方が立っていた。祈祷を終えたばかりのようだった。
穏やかな目だった。それだけで、美沙はなんとなくわかった。この人は、あたたかい人だ。
ベンチに腰を下ろした。神職の方が、少し話してくれた。
ハートの石のこと。三、四十年前、総代が見つけたこと。掘れども掘れどもなかなか出てこなくて、ようやく出てきたこと。病気の方が来る。ご家族も来る。だからできるだけあたたかい感じで迎えたい、と。
美沙は聞きながら思った。
さっきから感じていたこの場所の空気——愛しかない、と思っていたあの感覚——それはこういうことだったのか。
「お話がとても温かく感じました」と美沙は言った。
神職の方は少し微笑んだ。
「日々、行い良く生きているからこそ響くんですよ。」
その言葉が、胸に落ちた。
アルノおじいちゃんと同じ温かさだった。
光よ、届け
神職の方と別れた後、美沙はしばらくその場に立っていた。
胸の中に、まだあたたかさが残っていた。
もう一度、拝殿へ向かおう。そう思った。さっきとは違う気がした。何かが、まだある。
美沙は再び拝殿へ向かった。今度は端に寄った。静かに手を合わせる。目を閉じる。
意識を上げていく。高く、高く。どんどん何かが剥がれていく。肩の力が抜けて、頭が静かになって、胸だけが温かくなっていく。
気がついたら、上から見ていた。
中東のあたりの上空に、柔らかい黄色い光のエネルギーが丸く固まって、ふわふわと漂っていた。
それがだんだん輪郭をはっきりさせていった。二重になった。
映像とともに、おだやかな女性の声が届いた。
「如意輪観音。」
仏教の観音様——あの金色の光背と、同じ形だ。
「あなたの眉間から、出ています。」
私の眉間から?
見えた。
金色の二重の輪。真ん中には何もない。その輪から、5本の線が外へ向かって放射状に伸びている。
「未来にいるあなたの期待が、光になって出たのです。」
未来の私の——期待。
次の瞬間、その光が中東の上空へさっと飛んだ。あっという間だった。
黄色い二重の輪が、中東全体を包むように広がった。
そして——戻ってきた。
まっすぐに、今の美沙の額へ。シュッと、正確に。額の少し前に、ふわりと浮いて——はまった。
「あなたが助けたいものを、光に変えなさい。」
おだやかな、やわらかい声だった。
美沙は子供のように泣きじゃくりながら、ただ祈った。平和を。
愛を思い出した日
美沙はゆっくりと目を開けた。
拝殿の朱色が、静かに立っていた。
立ち上がって、深く一礼した。
歩き出しながら、ふと思った。
今日、なぜここに来たのだろう。
特に理由はなかった。ただ、足が向いた。
でも今はわかる気がした。
愛を、思い出しに来たのかもしれない。
アルノおじいちゃんの「愛しているよ」。 神職の方の温かさ。 ハートの石の愛のエネルギー。 風ちゃんの優しさ。
そして——見知らぬ遠い国への祈り。会ったことも、これからも会うことのない人たちへ。それでも光を送ることができる。愛があれば、距離は関係ない。
未来の私は、それを知っていた。だから額から光を送ってきた。
今の私に、教えるために。
鳥居をくぐる前に、振り返った。
菊の紋様が、静かに輝いていた。
そうか。最初からここにあった。
如意輪観音の光背。額の二重の輪。イラクの五千年前の紋様。全部、この菊の形と同じだった。
合図は、最初からそれを教えていた。
また来るね。
そう思った。
ご自身の中にも、誰かへ送りたい愛や光はありますか。
祈りは、特別な人だけのものではありません。純粋であるほど、届く場所が違う。
そのことに気づきたい方は、ぜひセッションへ。
📍 武蔵国一之宮 小野神社 東京都多摩市一ノ宮1-18-8 京王線「聖蹟桜ヶ丘駅」西口より徒歩約7分

